斎藤圭一郎『劇場総集編ぼっち・ざ・ろっく! Re:Re:』観た。相当良かった、というか前編とあわせて今年のベスト級アニメ映画。これは、ただの総集編ではない。
テレシリーズぼざろを「ギターヒーロー(=英雄)後藤ひとり」誕生に焦点を絞り「神話」的物語に仕上げた前編の構造を引き継ぎ、今回は「ひとりに続く二人目のギターヒーロー喜多郁代」の誕生を描いているのだが(故にストーリーはひとりではなく郁代視点で進行する)、クライマックスの展開を前編と対にすることで、劇場版のテーマをより明確にし掘り下げることに成功している。
かつて結束バンドの危機を救ったヒーローがいて、その輝きに照らされ影響を受けた少女が、窮地に陥ったヒーローのために今度は自ら光を放ち覚醒する。そして、それに応えるべくヒーローもまた奮起する。今はまだ小さな星たちの巡る輝きを力強く魅せるクライマックスがあまりにエモーショナルで美しい。
見事な筆致で「輝きの循環」を描いた本作は、「ガールズバンドストーリー」であると同時に正しく「女児向けアイドルアニメ」であり、それはぼざろという作品が正真正銘の「“ヒーロー”もの」であることも意味する。心の底から素晴らしいと思う。