パスカル・ロジェ『ゴーストランドの惨劇』観た。なかなか悪くなかった。『悪魔のいけにえ』のようなスラッシャー/スプラッターかと思ったら、それは主人公が過去の凄惨な体験を元に執筆したホラー小説の内容でした。と見せかけて実は……という入れ子構造になっており、早い話がホラー版『インセプション』みたいな内容。
語り口はトリッキーだけど、伏線の張り方がしっかりしてるので、それなりにアハ体験があるのは良い。「フェアプレイ」に拘るタイプの本格ミステリファンにすすめられるのかもしれない。
「ホラー愛」や「母娘の絆」みたいな話は洒落臭いと感じる。現実と妄想の往還を繰り返すことによって生まれる灰色の中間状態の不気味さこそが本作の白眉だろう。
陰惨な暴力描写とは裏腹に、画面作りは美しい。そのアンバランスさが作品の魅力に繋がっている。ように感じた。