ポール・シュレイダー『カード・カウンター』観た。これはかなり良かった。本年度暫定ベスト候補もワンチャンある。かも。
「見せる暴力」と「見せない暴力」の使い分けが完璧でこれだけでも鑑賞する価値がある。というか、全体的に演出のキレがヤバい。
オスカー・アイザック演じる主人公のギャンブラーがモーテルに入るなり家具を白いシーツで覆うくだりは、キャラクターの危うさの表現として大変クールだと感じた。この行為そのものにいかなる説明がないのも、映画に豊かな余白を生んでいると思う。
主人公の手前勝手な「贖罪」の果てにもたらされる虚無感とやるせなさは正しくシュレイダー作品の味わいで嬉しくなる。『タクシードライバー』の「自己」変奏としての良さ。