ポーリン・バーンビー(Pauline Barmby)の "Solar Gravitational Lens"(「太陽重力レンズ」)を読んだ。
On Spec Magazine #126(2023)掲載作。約3600語。
https://weightlessbooks.com/on-spec-magazine-126-vol-33-no-4/
太陽重力レンズを利用して遠くの星系を観測する宇宙探査ミッションを行うため、地球から600天文単位離れた太陽系外縁部へとやって来た主人公。彼はアップロード技術を使って自らの精神を宇宙船に移し、孤独な旅を続けてきた。目的地へ着いて数年ぶりに磁気シールドをオフにすると、なぜか地球との通信が途絶えていることに気づく。ともかく望遠鏡を展開して観測ミッションを進めようとするが、そんな時に未知の信号を受信し……という話。
今度出るアンソロジー『Year's Best Canadian Fantasy and Science Fiction: Volume Two』にも収録予定らしい。というかその告知で存在を知ったので買って読んでみたのだが、タイトルからの期待通り、結構好みの短編。
きちんと読んだので訳稿あり。
ポーリン・バーンビー氏は本業が天体物理学者で、ウェスタンオンタリオ大学の教授(物理学と天文学の学科長をやっているらしい)。本作の掲載誌にあるインタビュー記事によると2021年から小説を書き始めたのだとか。マイクロフィクションをあちこちで書いているが、もう少し長いものも書こうとしているらしい。注目したいカナダの新人作家。