ずっと食わず嫌いしてた(マッチョな芸人の話かと思ってた)『キング・オブ・コメディ』、観たらスコセッシの中でもかなり面白かった。
喜劇を悲劇に悲劇を喜劇に、シームレスな虚実と反転するホストとゲスト。何者でもない自分が何者かになれば話を聞いてもらえると思った男の話。台本の要らない真実だけが彼の持ちネタ。
マスメディア隆盛時代にパーソナルな話に終始してて、大物を演じる小物感たっぷりなデ・ニーロの演技も良かった。てか、なんだかジャック・タチのユロ氏を思わせたりもして、特に前半はフランス映画っぽくも感じたほど。しかも大きい=大物にジェリー・ルイスとはなあ。
でも自意識と客観の落差って観ててほんと辛い…だって自分もふと我に返るとキモい奴じゃねーかとゾッとしていたたまれなくなるもん。