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「若者たちの神々」の何巻だったか忘れたけど、糸井重里が1980年代に筑紫哲也のインタビューでみずからの全共闘について語っている。糸井重里は当時1行1千万円と韜晦するコピーライターだった。セゾン文化華やかなりし時代だ。
糸井重里が全共闘の運動家だったのはわりと有名な話だけど最近は忘れられてるのかな。インタビューでは「ちょっと殴られたら痛かったからもう頑張れないと思ってやめちゃった」みたいに語ってたけど、ほんとは結構がっちり運動に関わっていたんだよね?
コピーライターという軽薄な肩書きで有名人となると、右翼の人々(時代的に彼らこそマイノリティではあった)に、ロシアに攻められたらどうするんだと問い詰められたりしたという。それでもぼくは戦いたくないのでロシアの男メカケになります、と答えると言っていた。
多分糸井は知らなかったんだと思うが、現実にソ連軍に女性たちを差し出して引揚げてきた男たちがいて、彼らは国策の犠牲者であるとともに戦時性虐待の加害者でもあった。男メカケになる以前におそらく女性が犠牲になるのだが、女性たちを守るために真っ先に糸井が前に出て犠牲になる気だったのか、というと、そういう気概で言ったのではなく比喩だったのだろう。

比喩だったから悪いというのではなく、そういう比喩が可能だったという立場や時代感を思わされるな、と、思う。
糸井が「声高に訴える」「暴力的な言葉を使う」ことを忌避し、現状維持親和的なのは、全共闘の経験を抜きにしては語れない気もする。まあわたしも知り合いじゃないし、彼のインタビュー全部見てるとかじゃないからわかんないけどね。

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