名古屋の中心地から離れていない国道の歩道。夜中でさえ人と車の往来が絶えない街の真ん中で仔猫の、ありったけで鳴く声が聞こえた。
目を向けると、飲食店の出すゴミの前で彼は叫んでいた。せっかく目の前に今夜の食事があるのに、ネットをうまくかい潜れなくて怒り狂ってた。
大きさはハングルースのハンドサイン、プラス尻尾といった感じ。25センチに満たないくらいか。こんな小さい頃から都会での自活をはじめなきゃいけないなんて大変だな。
近づくと、彼は野良猫の所作に倣って警戒し、僕から距離を取ろうと移動を試みる。だが、怪我をしているらしく、左前脚を上げたままひょこひょこと小走りにして、僕の脅威が届かないギリギリのところまで逃げた。
そうか、前脚を上手に使えないんじゃネットを潜るのもうまくいかないよなあ。
餌やり禁止?するなら持続性のある支援を?
うるせーよ。僕はコンビニでご飯を買って彼に持っていった。
この時僕は思った。人の支援と猫の支援の区別はどこにあるんだろうか。
答えは今も出ないままだ。それは人に尋ねるものでも説くものでなく、自分で自分に出さなきゃいけないものだから。自分で考えないといけないことってたくさんある。しかも不変の答えなんてあるわけないしな。
生き延びたらまたどこかでな。てかまずはお互い生き延びようや。
猫を人と一緒にすんなって?それは違うよ
人を猫と一緒にすんなって?それも違うよ
人と猫を一緒にするの当たり前って?それもじつは少し違うんだな
って誰かに言ってもしょうがないんだよ。僕にしか僕のその正解は見つけられないし、人の答えの正誤を僕が審判するのも違うことなんだ。でも僕の答えはこれらの中にある。