「これ一口サイズに切ってくれたら食べやすいのにな。」
「上品かよ?!お嬢様か、アンタ?」
でっけー口してるくせに大口開けて食べるのが下手とか可愛い…何より溢れそうないちごを舌で受け止めようとしたり、口開けたままどこから齧るかな迷ったり、エロすぎない?
いやいやいや、ちょっと待て!なに今の俺の思考?落ち着け俺、いま目の前にいるのは三井サンだぞ?!可愛いとかエロいとかおかしいだろ!
俺は三井サンには気づかれないようにスーッと深呼吸してから変な想像を追い出して、食べ物のことに集中した。
「アンタ、ハンバーガーも食べるの下手でしょ?」
よしよし、普通の感じで喋れてるぞ俺。
「なんでわかんだよ。」
「フルーツサンドよりハンバーガーの方がハードル高いじゃん。」
「そういや鉄男はハンバーガー溢さねーで食ってたなぁ。」
「出たよ、鉄男!昔の男の話今ここでするかなー?!」
「その表現やめろ。なんか潰してから食うといいらしいけど、俺はできねーわ。」
このお上品な元ヤンはそう言いながら指についてた生クリームを舐めた。
「舐めるなバカ!」
俺の咄嗟のセリフに、馬鹿っていう方が馬鹿なんだよと返される。その後はいつものような子供の口喧嘩みたいな応酬が続き、この時の俺の変な想像はすっかり忘れ去ることができた。
まぁ布団の中でガッツリ思い出してまたひとつ恥ずかしい思い出を作ってしまうのはもう数時間先の話だ。