"そうした批判は、皮肉にも、西洋フェミニズムの言説は有色人女性や第三世界の女性には無関係で当てはまらないという前提から出発している。この前提は、西洋の白人女性の状況を明らかにするためにフェミニズム言説をひとくくりにするのは妥当だと暗黙のうちに想定しているが、それこそわたしたちが異議を唱えたいものだ。そうした想定に疑問を投げかけ、二極化を再生産してもただ「フェミニズム」を再び三たび「西洋」に譲り渡すだけだと言いたいのである。結果は、架空でしかない西洋の均質性や、言説上も政治的にも安定しているかに見える西洋と東洋の階層的な分断を、覆せないだけである。"(C・T・モーハンティー 境界なきフェミニズム p.128)