町田奈緒士さんの『トランスジェンダーを生きる:語り合いから描く体験の「質感」』を読む。いままで、社会はトランスジェンダーという存在を過剰に他者化してきてはいないか、トランスジェンダーだって他者と関わって生きているのだから、過剰な他者化は当事者の「安心して生活できる」環境を奪ってしまう。こうした現状の中、シスジェンダーがトランスジェンダーの体験を“追体験“するにはどうすればいいのかを研究している。当事者が他者から間主観的に自分を把握される経験に重点を置かれており、当事者の生活の中で感じていることにちょっとでも触れることができたのかなと思える読書だった。