商店が密集している道の、真ん中あたりの建物が取り壊された。すると隣の建物とのうすーい隙間に、大砲の弾を滑らかにしたようなかたちの、人の膝くらいまではある大きめの岩が姿を現した。人工とも天然ともいえない不思議な岩だ。なんでこんなところにあるのかもわからない。建物の取り壊しが終わり更地になったが、岩は放置されて突き立ったままである。わたしはそれの前を通るたび、いい岩だなあ、撤去するのもったいないよね、と思って密かに鑑賞していたが、不意にその土地が駐車場になって舗装され、岩も姿を消してしまった。惜しい。