「野又穫 Continuum 想像の語彙」の感想 つづき
代表的な作品以外でも目についたものが何点もありました。
「Point of View-24」は珍しく、実際にありそうなシンプルな建物(テント)で、薄い雲に覆われた空が大半を占める構図が、これから建てられるものがあるのかもしれないと想像させ、長く眺めました。
「listen to the tales」は渋谷を思わせる街並みが白く石化して廃墟になってしまったように見え、手前にハチ公像らしきものと何匹もの犬、街中にも崩れかけの動物の彫像のようなものや犬たちが点在しています。薄青く静かで、これから全部消えていくだけ、といった一種の平和さを感じました。
「blue construction」シリーズには、懐かしさを感じる他の絵と毛色が違って、未来を思わせる過度に無機質な空気がありました。
2023年に描かれた最新の作品「Continuum」のシリーズは、これまで以上になんの建物かわからないもの、有機的なフォルムを持ったものなどがあります。実際の建築はかならず用途があるから、それがなさそうなものを絵で見せられると無性にワクワクしてしまいます。異様さにも惹かれるんでしょう。
「野又穫 Continuum 想像力の語彙」
@東京オペラシティアートギャラリー(東京・初台)
2023.07.06.-2023.09.24
「野又穫 Continuum 想像の語彙」の感想 余談
余談なのですが、画集に載っている「Imagine-2」と会場に展示されていた作品が違う、というか会場のはさらに描き加えられているような気がします。会場の絵では、遊園地のような建物群に文字らしき掲示物や、足元にはうさぎっぽい形の生き物(かオブジェ)がいます。画集のほうは掲示物も少ないし、足元には動物の影がすこしあるくらいで、誰もいない感じが強い。画集に載せられたほうは撮影したのがかなり前で、そのあと描き加えたとかでしょうか。