「日本人におすすめの本(植民地主義について)を教えてください」と知人(民族的マイノリティ)に聞いてみたら「日本人に読ませたい本などありません」と返された。確かにこの方のメッセージはいつも同胞へ向けている。ちょっと語気が荒く、強すぎる表現が多いけど、心で聞けば優しさに溢れている。いくら手を払いのけられようとも何度も何度も同胞へグーっと手を伸ばしている。日本人へ伝えたい言葉などもうとっくにないのだ。
いつだって辿り着く前に転ぶ。
肝心なことを言う前に疲弊する。
「日本人に読ませたい本はない」
そう言い切ったあの人は、どれだけ傷ついてきたのかな。諦めたくない気持ちと、羨ましさが交差する。