言語の面から植民地主義を批判する半嶺まどか氏の論考はとても参考になる。今回は少数言語や先住民言語の話者の健康とウェルビーイング(心身の健康や幸福)について世界を例にあげ琉球・沖縄を考える。
カナダでは先住民族の平均寿命はカナダ国民の平均より低く、自殺率もはるかに高い。成長過程で貧困状態が続くというのは沖縄でも同じだ。植民者と植民者に従順な沖縄人が多くを占める県の職員はきちんと調査をするはずないので正確な数字は不明だが、世界の先住民族と沖縄人が陥る状況に違いはないだろう。
興味深かったのは少数言語の習得をしたグループは認知症の割合が減り、糖尿病の発症率も低下したという研究結果だ。
言語の継承・習得は身体/精神的な健康に繋がり、加えて多言語使用は人々の共感力や柔軟な対応能力を高め、エンパワメントを促進するリソースとして機能する、とある。
よく「琉球民族は言語を奪われた」と表されるが、言語を奪う事で身体/精神的な健康も同時に奪われている。故翁長雄志元知事が自己決定権を蔑ろにされている状態を「魂の飢餓感」と表現していたが、それは言語を取り戻すことで埋められるのではないか。
言語はそれだけ歴史・文化と密接で、幸福で健康的な生活に必要不可欠ということ。