対外的戦争は必ずしも全体主義に必要とされるわけではない、というのは、中国における文化革命、スターリン下のソ連を見れば明らかで、国内における思想統制と「異端者」の排除の形態もとりえます。
当時は、共産主義と民主主義のイデオロギー闘争の時代だったことを反映して、イデオロギーが理由となりましたが、現在では、性をめぐる規範がもっともありうることで、トランスジェンダーはまさにその象徴になっているのだと思います。
トランスジェンダーという存在を「殲滅」するのは、物理的な破壊は必ずしも必要とせず、「存在しない」と社会的に規定することによって完成しうるものです。
しかし、全体主義はその性質上、次なる殲滅すべき敵を必ず必要としますので、その次は、また別の属性が殲滅対象となります。それは、LGBTQが考えられますが、フェミニストかもしれない、高齢者かもしれない、貧困者かもしれない、あるいは富裕層かもしれない、誰が選ばれるかはその時々の時流によります。