NHKスペシャルで取り上げられたジャニー喜多川性加害事件の番組に出演していた田淵俊彦氏による、番組の背景の考察記事。読み応えがあります。

たぶんにチグハグだったあの番組は、上層部からの干渉があったことを強く窺わせるという内容です。

福島事故に関係してもそうですが、日本は都合の悪いことは「なかったこと」にしようとする傾向が実に著しいと思います。

それは別に、政府や東電だけがそうだというのではなく、かかわっていた地域の人や現場の人も含めて、多くの人がその空気を醸成しているのだと思います。

NHKスペシャルでは描けなかった…番組に出演してわかった「ジャニー喜多川氏の性加害」が野放しにされたワケ
news.yahoo.co.jp/articles/7ca0

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アメリカのトランプを支持する労働者について、彼らがクレイジーな人間ではなく、自分たちの価値観を信じる普通の人間である、という指摘はそれはそうだと思うのですが、一方、ファシズムを形成する原動力になったのは、「普通の人」のまじめな熱狂であったことを考えれば、もっとも恐ろしいのは普通のまじめな人間である、ということも同時に指摘できるのではないかと思います。

日本とアメリカとではファシズムの現れ方が違い、ドイツと日本とでも異なると思いますが、制度設計が苦手なゆえにシステムだって殺戮を行わなかった戦中の日本と、生真面目に制度設計を行う国民性だったゆえに計画的に民族消滅を試みたナチスドイツとでやったことの軽重に違いがあるかといえば、たんに背景文化の違いに過ぎないのでは、と私は思っています。

もうひとつ言えるのは、人間は群れになると、その性質を大きく変えると言うことです。

群れの規模にもよって、振る舞いは大きく違ってきます。

近代化・都市化とファシズムは大きく関係しており、人間が巨大な群れとなった社会とファシズムは親和性が強いのだと思います。

アーレントの『全体主義の起源』にもそのことは、都市のモッブの流入・形成との関係が、全体主義伸長の背景として詳述されていたと思います。

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