田辺先生は、書き物や講演の仕事の量を緩めず、介護は人件費出してめいっぱい人手を借りて、でも任せきりではなく自分が采配し、限られた時間のなかでなるべく夫や母との時間を長く取るようにするというやり方を貫きながら、自分がこうと決めてやっているのだと割り切っている。愛だの献身だのではなく、あくまで自分がこうしたいからというさっぱりした書き方をしている。
そうはいってもたぶん、たとえばこの本がメディアで取り上げられたら、夫婦愛などと言われそうだと勝手に想像してしまう。けど、ここまでやるのは、やはり愛というものなのでないか、何かよくわからないけど相手が生きているかぎり、こうしてあげるべきだと思って大変でも頑張れるのは、愛というものの力なのではないかとも思ってしまう。自分でも何言ってるのかよくわからない。一周回って当たり前のことを言ってるような。