藤本タツキの作品(と言ってもチェンソーマンとルックバックとさよなら絵梨しか読んだことないけど)ってあのフラットさというか、思想色の異様な薄さみたいな、表現しづらい、あの独特の雰囲気がどうしても苦手だな
人間あるある、作劇あるあるを描くのがハチャメチャに巧いのだけどそれをいいとも悪いとも言わずに淡々と出してくる
例えば第二部の序盤でデンジが若い男性と老人どちらを助けるかと悪魔に言われて人間を見殺しにして猫だけ助ける、というエピソードを出してくる、そういう「知らん人間よりも知らん猫の安否のほうが気にかかる」という人間あるあるを描く割に、そのことの是非について触れないまま話が進行するみたいな、作者自身の善悪の価値判断を覆い隠したまま異様に鋭い筆致で人間が描かれていくことに私は据わりの悪さを感じるのだけど、たぶんチェンソーマンがここまでウケている裏にはそういう作者自身の価値判断を明かさずに読者に委ねてくるがゆえの摩擦感・抵抗感のなさが心地よく受け止められているからって部分が絶対あると思うんだよな〜
その摩擦レスを芸術性だとか作品としての深みだみたいに持ち上げるのは違うじゃん…? 違うと思うんだけど…どうだろ…
いや物語としてはめちゃくちゃ面白いと思うけど…