映画「オッペンハイマー」感想
バーベンハイマーと騒いでいた人達は、この映画を見て「ケンの最悪な暴走」を反省したのだろうか。
会議(ほぼ裁判みたいな聴聞会と公聴会)の長台詞が多くて、と登場人物も多いと事前の評判を聞いていたので構えていたが、字幕も登場人物のキャラ立ちも分かりにくさはなく、3時間でも飽きない映画だった。女性の地位の低さはやばい。時代考証に配慮したタバコ表現。
2020年代の価値観で当時を振り返り、大戦後から現在まで解決しない核問題を突きつける。
科学の可能性を追求し、社会正義の感覚もあり、多くの人に慕われるが、精神は鋼鉄ではなく頼まれると断れない科学者オッペンハイマー。
惑星規模の災害になる恐れ、水爆と冷戦の予感から、原爆開発競争に勝利し、実験と投下へ。
被爆国の者として鑑賞すると、直接的な表現はないと聞いていた爆心地の惨状は、主人公の幻覚や、投下後の記録を見た科学者達の渋面として表現されていた。爆発の轟音のような熱狂の歓声
(大陸侵攻や真珠湾攻撃をせず、独立国として大戦から距離をおく道はあったのか。原爆が落とされる前に降伏する道はあったのか。憲法の前文で猛省しているのに、なぜ最近、武器輸出国になったのか)
科学者は何でも作る。政治家は暴走する。各国の一般人が、常に政治に目を光らせるしかない