『悪魔のいけにえ』解説 (STUDIO VOICE 2008, 6 Vol. 390より)
ホラー全般が苦手なんですが『悪魔のいけにえ』は例外的に好きで、かつこのレビューはとても良い出来だと思うのでここで紹介します。以下。
「子ども時代は失われた」
『悪魔のいけにえ』
「赤頭巾ちゃん」のサイケデリック・ヴァージョンで、ジジェクがヒッチコックを素材にラカンの学説を逆検証したように、フロイディアンこそ自らの存在証明を賭けて解釈に取り組むべき映画でしょう。「子ども時代は失われた」というフロイトにトビー・フーパーはかなり肉薄しているし、だからこそ僕たちはこの映画からいつまでも離れられないのだから。青空の意味を理解できなかったリメイク版はまったく論外。(三田格)