主人公が戦場から帰還すると、家族(母と兄)は出征以前の工場での仕事に戻ればいいと言うんだけど、本人は工兵隊で学んだことから建築土木の仕事について土木技術者になりたい、工場は上から言われたことをやるだけで軍隊みたいで嫌だ、という。ところが次のカットに変わると、彼は工場の事務室にいて上司らしき男からここで工場に関する事務仕事の説明を受けてる。そこに、砲声のような爆発音が聞こえてくる。ギョッとする彼に上司は、工場の製造工程で出る音だから心配ないという。
その部屋は工場を見下ろす高い階にあって壁一面がガラスで工場全体が見える。その窓から外を見る彼の怯えたような表情。
その後、結局工場は辞めると、町を出てボストンに行き職を得るも間も無く解雇されまた別の街に行くというのを繰り返すうちに金も底をつき身なりも悪くなっていく。
ベトナムやイラン戦争の帰還兵について語られたような、復員後の兵士が安定した職に就けずホームレス化するというような話が、1932年公開の第一次大戦の帰還兵の話として語られていることに驚いてしまう。
そして絶望的なラストシーン、というか主人公の絶望をあんな風に視覚化してみせるのかというところに戦慄する。