『明日は来らず』(1937、レオ・マッケリー)

何だか『東京物語』みたいな話だなと思ったら、箱の解説に『東京物語』に着想を与えた作品だ、と書いてあった。日本公開時に野田高梧が観ていてそれをヒントに小津と『東京物語』の脚本を書いたんだとか。知らないことがいっぱいあるもんだな。
老夫婦が家のローンが払いきれず家を差し押さえられることになり落ち着き先が見つかるまで子どものうちで預かることになる。でも、二人を一度に引き受ける余裕だ誰にもないので、長男と長女のうちに別々に引き取られる。しかし、子どもの家族との関係はどうしてもうまくいかず、という話。

長男一家と母親との齟齬の描写がなんとも言えずいたたまれない感じ。最後は母親が女性用老人ホームに父親がカリフォルニアにいるの子ども(一度も画面に登場しない)の家に行くことになり遠く離れることになるんだけど、二人で街の思い出の場所を訪ねて回るところで何か今生の別れのような雰囲気を醸し出す。
コメディ作家のマッケリーなのでユーモアのトーンはあるので暗い映画じゃないんですけど、沁みるというか、名作って言っていい気がする。

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