「カブを引っ張る綱は、藁で編んだ綱から鉄の鎖、鋼の鎖に替わり、最後には今では製法の伝わっていない炭を糸にして撚ったという不思議な綱が使われました」「その綱を引くのは何万もの人、人、人」「抜けないカブを引っ張るうちに、カブを崇める人々も現れました」「それでもカブは抜かねばなりません」
「そうした色々なことがあったその末に、ついにカブが抜ける日が来たのです」「今までとは違う、引けば感じる手応えに人々は驚き涙しました」
「うんとこしょ、どっこいしょ」
「笑顔と涙の入り混じった掛け声だけが街に響きます」
「うんとこしょ、どっこいしょ」
「大きなカブが抜けました」
「遠く離れた山の上から見える、あの塔の天辺を、目をよく凝らしてみてください」「緑に輝くあれが、大きなカブの葉っぱです」
「ついに引き抜かれた大きなカブを抱えたこの巨大な塔は、神の怒りを買い雷で引き倒されることになるのですが」「それはまた別のお話」
(過去ツイ再利用)