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「大きなカブはついに抜けました」
「皆の胸には様々な思いが去来します」「いつかカブが抜けることを夢みて逝った初代お爺さんお婆さん」「カブを抜くために集まった皆との数多くの出会い」「新たな命の誕生もありました」「集まった人々で集落ができ、街になり」「それでもカブは抜けません」
「人々はカブを目指して集まり、街道が整備され」「大きな戦も三度経験しました」「カブの周囲を掘る掘削技術の発達、力学の発展」「カブを抜くための木の櫓は石造りに替わり、煉瓦でさらに大きく」「何人もの建築家や数学者が大きなカブから生まれ巣立っていきました」「それでもカブは抜けません」
「周囲を掘り進むことで推測されるカブの推定直径も何度上方修正されたことでしょう」「そのたびにカブを抜く櫓、いえ塔は太く高くなっていきました」「塔は街の中心部にあり、塔を大きくする度に街の再開発が行われました」「そうして都市計画の概念が生まれたのです」「それでもカブは抜けません」

「カブを引っ張る綱は、藁で編んだ綱から鉄の鎖、鋼の鎖に替わり、最後には今では製法の伝わっていない炭を糸にして撚ったという不思議な綱が使われました」「その綱を引くのは何万もの人、人、人」「抜けないカブを引っ張るうちに、カブを崇める人々も現れました」「それでもカブは抜かねばなりません」
「そうした色々なことがあったその末に、ついにカブが抜ける日が来たのです」「今までとは違う、引けば感じる手応えに人々は驚き涙しました」
「うんとこしょ、どっこいしょ」
「笑顔と涙の入り混じった掛け声だけが街に響きます」
「うんとこしょ、どっこいしょ」
「大きなカブが抜けました」

「遠く離れた山の上から見える、あの塔の天辺を、目をよく凝らしてみてください」「緑に輝くあれが、大きなカブの葉っぱです」

「ついに引き抜かれた大きなカブを抱えたこの巨大な塔は、神の怒りを買い雷で引き倒されることになるのですが」「それはまた別のお話」
(過去ツイ再利用)

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