大野松雄監督の『ザ・タージ・マハル・トラベラーズ』は先日岡山で見た68/75の映画『共同性の地平を求めて』と同じ制作方法で、高価なフィルムと別録された音で構成・編集されていた。そこに若い頃の小杉武久とかが写っていて、観ながらなんかすごく変な感じがしていた。冒頭とラストが同じ波とパスポートを元にした自己紹介映像で、マジックペンで書かれた字幕もいいのだけれど、それが日本語と英語の両方なのもいい。パスポートっぽい字幕。外国の風景のはずが、どこでも同じに思えるような空が意外と挿入されているのもいい。音楽や当時のヒッピースタイルの格好、外国の人たち。混線した時系列。オフレコ的な登場人物たちの会話。映画音楽と旅行音楽が混ざっていた。
バンド名を観光団にせず旅行団にしたのは、ポップさを抑えるためと言っていたその感覚が今では新鮮。
どちらもドキュメンタリであり、どちらも対象となる人物(人物たち)がテーマの一つであり、映像と音の構成が(当時の技術上)同じ手法からきてるのは、映像としてのその時代性を大きく写していると思うのだけど、全く別の意味合い、テイストを持った映画になってるのがとても興味深い。