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『蟻の王』の感想 

『蟻の王』、しんどいんですけど好きな映画でした。この話、クィアであることが核ではあるけれど同時に思想・信条についての物語でもあったと思う。それはアルドの訴訟を追うことになった共産党機関紙の記者であるエンニオとそのいとこで活動家のグラツィエラの存在があったからかな。グラツィエラが裁判所前でアルドへの教唆罪の適用は不条理だと叫ぶとき、グラツィエラの友人の弁護士は差別主義者で、「そんなことよりベトナム戦争に反対しろ」と言うんですよね。どんなにリベラルな思想を持っていても、ジェンダーやセクシュアリティのこととなると差別的な態度が露見する日本のTwitterみたいだなって思いました。「共産党嫌い」も同じ構図な気がする。
ただ、実際のウニタ紙はこの映画よりもアルドを支持する方向に向いてたようなので、その改変はちょっと「共産主義」というイデオロギーへの偏見なのでは? という気持ちもなくはない。まあ実際にソ連は刑法121条によって同性愛行為を取り締まっていた事実もあるのでソ連側の代表から差別的な言葉を投げつけられた可能性は十分あるし、エンニオといとこのグラツィエラのようにアライである共産主義者も出てくるので、全然ダメだとは思わなかったですが。

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