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小川哲『地図と拳』読了。
とても面白かった。
満州国、奉天の東にある李家鎮という架空の街の50年の興亡の歴史。
大量の人物が現れ、生い立ちが語られ、思惑を語り、消えていく。それらの集積。
色彩はなく、手触りもない文章で、思弁的な小説。とにかく登場人物が各々の理論を語る語るで、異様な説得力があった。読んでて楽しい。
満州という国家を李家鎮(のちに仙桃城)という箱庭でシミュレーションして、李家鎮という街を小説上でシミュレーションしているような趣きで、SFでした。
李家鎮がどういう街でどういう人が住んでてどういう営みが行われてるかは読んでてもさっぱり分からないんですが、でも李家鎮の50年の歴史、それに関わった人々の思いだけは分かる。
燃える土(石炭)がキーワードのひとつなのですが、石炭成分を期待するとがっかりします。
銃に撃たれても死なない人間とか、人間気象観測器とか出てくるんですが、そういう外連味や派手さを期待すると肩透かしを食らうんですが、分かりやすい派手さとは別の妙味があるといいますか。

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