『A Number―数』『What If If Only―もしも もしせめて』キャリル・チャーチル作、ジョナサン・マンビィ演出
良くないと思いました。哲学が感じられないというと身も蓋ももないんですが、どちらも終始メロドラマ的な解釈になっている印象。特にWhat If...はなぜ男優二人の配役にしたのかがわからない。パートナーを失った男というゆるいモチーフに沿わないのか?と思ったら未来/現在が女装した姿で現れ(でも女装した男性ではなく女としてだと思う)ゲイカップルにするんじゃなくヘテロカップルなんかい!じゃあ女優を雇え!という不満が募りまくり。リアリズム的なディティールのキッチンの美術とプロジェクションの光で表現される様々な声もミスマッチ…。理解の及ばない部分をファンタジーでごまかしていると思ってしまった。
A Numberも、クローニングの倫理問題は感じられず、自分と同じ人間がいることがミステリー的に使われている感じ。映像の使用は、大阪会場ではめちゃくちゃ見辛いこともあったけど、安易なイメージの提示のように思えてむしろマイナスだった。今の日本だと後期チャーチルはこんな上演になるんかいという悲しみ…。