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演習の授業でAiAを読んでいる。今日発表した学生が、ハーパーが南極に行くシーンを現実の南極に行っていると解釈をしていて、あれ?と思って確認してもリアルの南極だと言う。私はハーパーの精神疾患からくる幻覚と思っていたので、じゃあリアルか幻覚かもグループディスカッションで考えましょうということにした。
話し合いの様子やその後の各グループの意見発表を聞いていてハタと腑に落ちた。つまり、ハーパーの南極行きを幻覚と考えるのなら、プライアーが天使と遭遇したり燃える預言書を授かったりというのは幻覚とは考えないのかという問題なのだ。それはとても本質を突いた指摘だと思う。天使と出会ったり預言を聞いたり、幽霊や先祖と遭遇したり、イマジナリーフレンドと南極に行ったりと、現実の世界から乖離した場面がたくさん出てくる中で、観客/読者が何をリアルと思って何を幻覚とするのかは、つまり作中のどういう要素を重要視するかという問いなのだと思う。そしてそのことはエイズ禍の混乱で優先されたもの捨て置かれたものの判断にも繋がるような気がして、だからハーパーの南極の場面も、(どのように上演するかはまた別の問いとして)ちゃんとリアルなのだと受け止めなければなと。面白い視点をもらったなぁとほくほくして帰宅。

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