Things Hidden Since the Foundation of the World
Javaad Alipoorのテクノロジートリロジーの3作目。WhatsApp インスタグラムに続いて、今作はウィキペディアをモチーフに、90年代に亡命先のドイツで殺されたイランのポップスターの物語を取り上げる。
3部作のどれも観客に実際にアプリを使わせるようなインタラクティブな形でモチーフを作品に取り入れるのが特徴的。でもアリプール自身はITに対してとても懐疑的で、その理由が技術的、メディア論的な事柄だけではなく、明確に今の政治社会問題を理由に技術をテクノロジーを疑っているのが面白い。

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ヨーロッパの観客が現代のイランについて「知る」とはどういうことなのか、インターネットやウィキペディアはコロニアリズムへの批判なくして使えるのか。でも同時に、そうした批判も越えた異文化同士の出会いもきっとあるはずだという願いのようなものもあって、その希望の一つとして劇場という場を作ろうとしているのだと思う。
若干理論先行な感じはあるし、観客との絡みももう少し厚かましく踏み込んでいいのではとも思うのだけど、ポリティカルシアターの意欲作でとても良かったです。
ちなみに、イランのスターの話はマーダーミステリーとして物語の消費やネット上の情報の欠陥の問題として語られていくんですが、これと微妙にオーバーラップする形でイラン/カナダ人のミュージシャン/アクティビスト?の自伝的パフォーマンスのパートがあって、「物語」としては実はこちらがメインかも。
あと、テキストの共同執筆にクリス・ソープが入っててびっくりした。パスポート2冊ある人…(やな覚え方)。

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