第5章 ひらめく――洞察による認知的変化 ひらめきは突然訪れるかのように語られることが多い。しかしひらめきは練習による変化、発達による変化と同じ、つまり多様で冗長な認知リソースとその競合による揺らぎが、それが実行される環境と一体となり創発される。
第6章 教育をどう考えるか これまで見てきたように、練習を通した学習、発達、ひらめき等の認知的変化は、複数のリソースが存在し、それらが競合、協調を重ねながら揺らぎ、状況、環境と相互作用しながら進んでいく。この章ではこうした観点から教育について考えてみる。まずはじめに教育についての思い込み=素朴教育概念を再検討する。そして素朴概念が、教育を間違った方向に進める危険性を指摘する。文部科学省が主導するさまざまなレベルの規格化はこれの端的な現れである。