ああ、ドラマで人気が出たからこの施設にもそれらしい役者を配しているんだな、それにしてももう閉館時間だろうにぎりぎりまで役になり切っているのだな、などと思いながら通り過ぎる。そういえば列車の中から見た空は夕暮れだったのに、ここでは太陽は傾いているとはいえまだまだ十分に明るい。改札を出てからまた戻ってきても充分写真を撮れるぐらいの時間はあるな、とおもうほどに。なぜそんなに写真を撮りたいと思うのだろう。そしてまたつぎの下り道へと差し掛かる角に、彼岸花の花をひっぱいにつけた低木があり、わぁこれは珍しいと思いながらも足を止めずに角を曲がり道を進んで、やがて坂のてっぺんから下り道を見おろすと未舗装の道の終わりがシームレスに駅のコンコースへと繋がっている。ああ、もう少しで……
そこで目が覚めたのか、そこまでしか覚えていないのか、目が覚めてからなんとも不思議な、なんといったらいいか、死に近付いていたのではなかろうか、と思うような夢だった。