ヴァージニア・ウルフをおそらく日本で最初に訳出したであろう葛川篤(本名・刈田善衛)、CiNiiとNDLデジコレを見る限りは研究論文が見当たらない。言及している博士論文が2件あるのみ。ただ学友だった伊藤整と瀬沼茂樹が、早死した葛川を思い出して戦後に彼について書いてる文章がいくつかあるので、それを辿っていけばもう少し周辺のことはわかりそう。

いまのところわかっていることはこんな感じ。(なお、調査の所要時間はだいたい半日)

・秋田県の土崎港という町の出身
・東京商業大学(現在の一橋大学)でフランス文学を専攻していた
・「一橋文学」をはじめいくつかの文芸同人を立ち上げる
・卒業後、川崎貯蓄銀行(現在の三菱UFJ銀行)に勤めながらウルフやアンドレ・ジッドの翻訳に取り組み、20代後半は年一ペースで訳書を発表
・身体が弱かったのに加えダブルワークの疲労が原因なのか、なんらかの病を患う
・地元に戻って静養するも32歳で死去

詩の実作もしていたらしいのだけど見つけることができない。近々国会図書館で調べることにします。デジタルテキストになってない論文の中で引用・言及されている可能性が大いにあると思っています。

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興味をそそられるのが、『星の王子さま』を訳した内藤濯の教え子で、ゴリゴリ仏文学をやってた葛川が、どうやってウルフを知り、なぜのめり込んでいったのか、なんだけれど、葛川自身の文章が書かれたものがあまりないので、著作の序文とかを丁寧に読んでいきたい。

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