「みんなの日本語」という、あまりにも古く問題も多いが永らくデファクトスタンダードだったため今でも広く使われている日本語の教科書に、「マイク・ミラー」という登場人物が出てくる。日本人にとってはこの名をローマンアルファベットで書くなら Mike Miller となるのがごく当たり前なのだが、この名の入った文を訳せと指示すると、ベトナム人は教師も学生もみんな「Maiku Mira」と書く。これに思い切り脱力してしまうのだが、考えてみると彼らは直前に「ローマ字とひらがなカタカナ」を習ったばかりであるし、ベトナムの田舎出身の若者は英米の人名などほとんど知らないし慣れてもいないのである。日本人の私のほうが「アメリカかぶれ」なだけかもしれない。
共通の表記があるのに発音が違うという問題は、同じアルファベットの言語同士でもありますよね。英語、ドイツ語、フランス語、それぞれ発音が違いますから、同じ固有名詞や人名の話をしていても、だれのことかわからないということはあり得ますよね。
私が最近、たまたま動画を見ていておもしろかったのは、納豆に含まれている酵素の nattokinase です。ドイツ語でも「ナット―キナーゼ」ですが、英語圏の人の発音は、「ナット―カイネーズ」の人もいますが、「ネイトーカイネーズ」の人がいて、字幕を見てわかりました。