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人類最初の探偵はアダムだとする説。

《ある日、アダムは脇腹が痛むので目をさました。
「ヤッ、これは……」と彼は叫んだ。「誰かが、私のアバラ骨を盗みやがった……」(人類初の窃盗事件)
「ここにあるわよ」
と、背後で甘い声がした。(人類最初の手がかり)
アダムは素早くふりむき、美しい女を見た。(事件に登場した最初の女)
「お前が?」とアダムは苦しそうにあえいだ。
「そうか、そこにあるのが私のアバラか……だが、これは一体……?」(人類初のミステリー)
「ええ、私がもっているのが、あなたの失くしたアバラ骨よ」(人類初の告白)
「馬鹿な!」とアダムは舌打ちした。
「おまえの名は何と言うのだ?」(人類初の尋問)
「私、イヴ(夕方の意)よ」
と、女が答えた。アダムは、首をかしげた。
「おまえは、どちらかというと、夕方でなく、モーン(朝の意)って感じだよ」(人類初の事実誤認)
そこでイヴは頬を赤らめて去り、モダンなイチジクの葉を着けてもどってくる。(人類初の変装)》――寺山修司『幻想図書館』

ニュートン・ニューカークというたぶん実在しないミステリー・マニアの説という。

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