ポンコツ
ポンコツなのでコンディションをちょいちょい崩す。肉体は(ありがたいことに)頑丈すぎるほど頑丈なのだが精神が豆腐、というか歪(いびつ)。だから負荷が積もると肉体じゃなくて精神にくる。人格としていつまでも成熟しない感じがあって、それが苦痛。でもさすがにもうあれこれ半ば諦めがついている。先天的なものと後天的なもの、その配合バランスってどのくらいだったんだろうか? 肉体的にも精神的にも鈍いのが強みで、危ない感じで崩壊してしまうようなことはなく、それがなんというか惨めでもある。
そういえばその昔ポンコツって名乗ってた女子がいて、なんかの縁で仲良くなった。飲んで話しててちょっと自虐的なところが無いでは無かったけど卑屈な感じは1ミリもなく、頭はいいし堂々としてるしセンスもいいし、まったくポンコツという感じじゃなかった。それがある週末の昼下がり、まったく思い掛けない場所で彼女とすれ違って、聞けばそのあたりのメンタルクリニックに通っているとのことだった。「なにしろポンコツなんで」と笑顔を作る彼女のその表情が記憶に蘇る。暑い日の抜けるような青空だっただけになおさら。音楽や文学などに対する趣味も面白い人だったけど、言われてみればいつもどこかぼんやりとしていて、あれは自分のポンコツさに頭を悩ませていたのだろうか?