『ぼくは6歳、紅茶プランテーションで生まれて。』感想続き
続)
植民地にされたことで、それまで誰も飲んでいなかった紅茶を育てることになり、紅茶畑の管理をさせるためにインドから移住させられた人々は、今も根強く残る差別をうけながら、山間部のプランテーションで生活している。雨漏りのする住居でトイレは共同、お風呂はなし。労働者を一生涯働かせるための農場なので、保育園も簡単な病院もあって、一歩も外に出ず生涯を終える人もいる。畑での生活は朝から晩まで働き詰めでロクな娯楽もなく、お酒を飲むしか楽しみはない。家庭内暴力も少なからずあるという。男性は工場で機械を操作して朝~昼過ぎまで働く一方、女性は朝~夕方まで畑で茶摘みの肉体労働。どちらにしてもしんどいしごとだが、ここにも男女差別が存在する。
そんな生活に村の人々は「慣れた」と言う。農園で暮らす子供たちのなかに「将来ここで働きたい」と言う子は一人もいない。それでも、ほとんどの子は大人になって農園で働く。名前だけは教科書で知っていた「プランテーション」という仕組みの邪悪さがよくわかった。
『ぼくは6歳、紅茶プランテーションで生まれて。』感想続きの2
ところで私はルピシアの紅茶が好きで、贈り物に買ったり、クリスマス時期にブックオブティーを買ったりしている。運よくポイントが溜まると、ティーバッグ2つと会報誌が毎月届けられる。今月の特集は『セイロンの名を継ぐ紅茶』で、「伝統的な方法で栽培されて手摘みされる上質な紅茶」「歴史を感じる街並みが残されている」というキラキラな記載に渋い顔になった。それに「セイロン」はイギリスの植民地だった影響でつけられた国名だそうなので、歴史の重みを感じるためにエモく使っていい名前ではないのでは……とモヤモヤしながら紅茶をすすった。