ビートルマニアには有名な「ワンダーウォール」を見た。初老の細菌学者がアパートに帰って来て、部屋の壁に穴が開いていて、覗いてみたら隣人はジェーン・バーキンだった! ジュテーム!(ジェーン・バーキンが出るとジュテームとしか言えない薄い僕です。)先生の頭に春が帰ってきます。

自分がこれに匹敵する体験したいことといえば、その覗き穴の向こうは変身ヒロインで、自室で変身して窓から出動するところを目撃した場合ですかね? 変身シーンを思い出すだけで鼻血が出て興奮してしまうことでしょう。自分の汚い内面の吐露をしておきますが、現実との折り合いがつけられるよう頑張っているつもりです。

しかし、先生は覗き穴の向こうの非現実な世界に魅了され、仕事場でも「向こうの世界」の幻覚・幻想に支配され、仕事に行くのをやめてしまうほどに「向こうの世界に」支配されていくのです。電話線を切り、ベッドを壁に直に置くようになり、飼っていたカマキリも死なせてしまいます。

続きます。

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やがて先生は屋根裏をぶち抜いて隣室に行けるような仕掛けを作り、物理的に接触するストーカー行為に及びます。そうしたら彼女は睡眠薬の空き瓶を傍らにおいて意識不明になっていました。現場で騒ぐことはできないため、自室に戻ってから近所に触れ回るべく大声でHELP!と叫びます。

なんか、ここらへんの描写が、虚実皮膜の境界が破れた害的オタクと似ているような気がしてなりません。ここ20年ぐらい、クリスマスイブに人気声優を遠目でストーキングして、男の影がないか監視してまわる害的オタクたちが普通に見られるようになりましたからね。

結局先生のお陰で彼女は救われ、ニュースにもなりました。職場に戻った先生が顕微鏡で見たものは、細菌ではなく星空をバックにあのジェーン・バーキンが遠ざかって行く姿でした。それは、もうこの先生は二度とジェーン・バーキンとはお目にかかれないという暗喩でしょう。

この映画は、サイケデリックなトリックを駆使して、意図的に散漫な印象を与えていますが、害的オタクの現実認識という補助線を引くと笑えなくなる映画だと思います。 [参照]

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