アンディ・ウィアー『火星の人』新版上下巻を読んだ感想
“ つまりこういうことだ。ぼくは火星に取り残されてしまった。〈ヘルメス〉とも地球とも通信する手段はない。みんな、ぼくが死んだものと思っている。そしてぼくは三一日間だけもつように設計されたハブのなかにいる。
もし酸素供給器が壊れたら窒息死。水再生器が壊れたら渇きで死ぬ。ハブに穴があいたら爆死するようなもの。そういう事態にならないとしても、いつかは食料が尽きて餓死する。
ああ、まったく。最悪だ。”
(『火星の人』アンディ・ウィアー 著/小野田和子 訳)
https://www.hayakawa-online.co.jp/smartphone/detail.html?id=000000013092
宇宙飛行士である主人公が火星でたった一人、究極のサバイバルをすることになるという話だった。
有人火星探査のミッションの最中に猛烈で危険な砂嵐に襲われ、その混乱のなかで主人公は怪我を負い行方不明になる。クルーたちに彼は亡くなったと判断され、不運にも火星にひとり置き去りにされてしまう。
地球の無人島でのサバイバルとは違って、少しでも何かを間違うと死に直結する。そういう緊迫感があるはずなのに、主人公がムードメーカーなおかげでなんとなく心の余裕を持ちながら読み進められた。
一か八かでどうにかするしかない場面も多く、あまりに無謀なので深刻な気持ちになっていたら、主人公がふと笑わせにくるから思わずホッとしたりする。
主人公がこの性格でなければ乗り切れない事態の連続だった。宇宙飛行士のメンタルはこうでなくちゃ務まらないのかな?
とにかくポジティブ。こんなに前向きな性格だったらどこでも生きていけそうで、とても羨ましい。
反対に、最初に抜粋した文章はいささかネガティブというか、当然の反応を示している。生き残るため意図的な戦略としてのポジティブだとしても、本当に見習いたい。
「さすがにここで主人公が死ぬことはないよね」と何度も思ったし、決められたラストに向かって話が進んでいるのは分かるのだけれど、何か問題が起こる度にハラハラ・ソワソワして最後の最後まで楽しませてくれた。
絶望的な状況や、考えられる最悪の事態をあまり深刻に受け止めすぎず、目の前の問題からひとつひとつクリアしていくところが良かった。
その道のプロが全力で考えて柔軟に実行を重ねていくところに読み応えがあった。どうにか成功するように、思わず祈ってしまったくらいだ。
映画『オデッセイ』はまだ見ていないけれど、ちょっと興味が出てきたのでいずれ見たい。
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アンディ・ウィアー『火星の人』新版上下巻を読んだ感想
@kumazemi
火星でイモを作る話……もっとスリリングで偉業の数々、地球を巻き込んだ壮大なサバイバルだったのにー!
でもたしかにイモは作ってたので何も言えないですね……😂