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コイカラ03(あむあず) 

 カフェタイムならケーキセットを勧めるところだけれど、まだランチタイムも真っ只中の時間なので、ランチにもなるサンドイッチのセットを勧める。ポアロのサンドイッチは、卵をたっぷりと使ったボリューム満点のタマゴサンドだ。
「それなら、店員さんのおすすめをいただこうかしら」
「はい、少々お待ち下さい」
 マスターに注文を伝えて、そのタイミングでもう一組、食事を終えたグループの会計に立つ。カランカランと軽快に響く音を聞きながら空席になったテーブルを片付けていると、今度は追加注文に呼ばれた。
 たった二十席ほどの店とはいえふたりで回すには限界なのかもしれないと思うほどの忙しさの中で、さらにもう一組、喫茶店のドアを開いた。

 広場に通じている大通りから伸びた横道のさらに奥、路地裏の細い道を進んだ先。道はたっぷりと蛇行して、いくつもの階段を登ったり降りたりして、さらに塀を突き破るように開けられた、人ひとりがようやく通ることができるほどの広さの穴をくぐった向こう側に、喫茶ポアロの入り口はひっそりとある。
 特に目立つような立地条件ではなく、むしろ不揃いの石でできた足場が悪い階段の上にあるこの場所は、表通りに比べると格段に不便で目立たない場所にある。

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