なんとか一時間番組のポスプロ編集の目処をつけて、帰ってきたら日曜美術館で、リヒター展の特集再放送が流れていた。
9日に見に行った時には、9月に見たこの番組の内容を覚えてなかったけど、改めて眺めていたら、リヒターの絵画を戦後の東側の芸術理念「社会主義リアリズム」と西側のアートの展開「抽象表現主義」と「ポップアート」のある種の融合という視点を打ち出していて、改めて興味深かった(既に定評となっているものだろうけども)。
今もそういうリヒターのアートに惹かれるのは、自分の現代美術の見方が、1995年に出た「批評空間」の臨時増刊『モダニズムのハード・コア』に影響されているからだと思い、本棚から引っ張り出した。
もう27年も前のこの特集の巻頭座談会は、先日亡くなった磯崎新のまだまだ若々しい姿(それでも60歳代よね)と浅田彰、岡崎乾二郎、柄谷行人が参加していて、興味深かった。
絵画が二次元のものであるかぎり、抽象表現主義の表面性とアクションペインティング的な手法の露呈は、全然古くならないのだなあなどと、リヒターの『ベルケナウ』以降の「アブストラクト・ペインティング」の瑞々しい色彩の奔出を思い出しつつ、考えた。