撮影で東京に向かう新幹線の車中で今読み終わった『今を生きる思想 ミシェル・フーコー 権力のいいなりにならない生き方』(箱田徹・講談社現代新書)は、とても良いので、年末年始の時間がある時にぜひ読むべき一冊と思う。104頁税別800円という手に取りやすいものでありながら、内容はとても濃い。
例えばポモとポリコレを批判するために書かれた(とおぼしき)『「社会正義」はいつも正しい』におけるフーコーの思想の扱いの雑さやリベラリズムと啓蒙主義があれば、ポストモダンなんかいらない、と言わんばかりのその主張に比べて、この小さな本で書かれた後期フーコー思想の精緻な読解やフーコー自身が当の「啓蒙」という概念にどのような意味をもたせたのかを読めば、あの『「社会正義」~』がいかに軽薄なものかよく分かると思う(本書によればフーコーは、啓蒙という概念に「このようには統治されない技術」という意味を与えた)。
それにしても、40年も前に57歳という若さで亡くなってしまったフーコーがいかに現在に続く状況を見ていたか、その透徹ぶりには改めて驚かされる。フーコー、すごいなーとしか思えない。
ともかくおすすめの一冊であります。

· · SubwayTooter · 1 · 9 · 19

さっと目を通しただけなんですが、全般的にいい本ですね!

ただ、新自由主義のところはちょっとツッコミが浅いかな、と思いました。フーコーは資本主義にも、共産主義国家にも、もちろん独裁制にも絶望していたので市場主義に期待をかけたのは70-80年代の状況としてはあり得たことだと思うのですが、死後に訪れた展開を見ると、やはり新自由主義については予測が甘かったというほかはありません。

誰も完璧ではないし、無謬でない人を称賛してはいけないこともないのですが、今になって間違いであったことが明らかなことはちゃんと批判したほうが2022年に出す本としてはいいのかな、という感想を持ちました。そうしたほうが、右派から脇の甘さを指摘されることも少ないかと思いますし…。

@lematin 返信をありがとうございます。フーコーの新自由主義の扱いについては、おっしゃるようなことがあるのですね。統治権力の言いなりにならないためにも、これからも細々とでも、できることをしたいと考えております。

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