劇場アニメ「ルックバック」見たざっくり感想
ルックバックは、非常に私的な漫画であると思う。
だからこそジャンプラ全員公開の読切、という形が非常に合っていたと思っていたし、それを投げつけるように(そんなことはない)公開したタツキ先生が私はなんか好きで、そしてこの漫画にはそれ以上にたしかな創作の喜びが溢れていて、それでいて、この中には私がいた。
違うけど、多かれ少なかれものをつくったことのある人は藤野のことを自分と重ねて感じると思う。こんなにもつらくて、こんなにも楽しくて、やめたくてもやめられない、“あの瞬間”が積み重なっているからやってしまう、感情
私はこの漫画で一番美しい部分は雨のシーンだと思う。
しかしあの瞬間、切り取られた高揚の美しさは、動画作品において一瞬にすることはできず、しかし記憶は一瞬であり、私たちは映画においてひらひらと舞い降りた視点でしかなく、どうしたって藤野は他人であり、二人を見続けなければならなかった。
たしかに二人の青春であり、幸せなあの瞬間をたしかに美しく綴ったものであり、その記憶であったけど、映画のこれは“少しひねた主人公と純粋すぎる相棒の青春物語”でしかなかった。
創作はひとりのものだ。ひとりだから、集まれるのだと思う。思い出も断片であり、だからこそ集まると美しい。
劇場アニメ「ルックバック」見たざっくり感想
音楽が描く喜びも幸せも、それで塗りつぶすためのものではなく、拾い上げさせるための補助としての光なのだと思う。絵が美しいだけに、また別に印象が違うわけでもないがゆえに、音楽にきつい押付けがましさを思ってしまったのがわりとつらかった。
たぶん、静止画の連続だからというのもあると思う。
しかしこれはなんとなくたぶん好み。
映画は映画館でそれぞれが対峙するものだと思うし、これはこれでそういうものなんだよなと思う
映画館で見れてよかった。