「聖闘士星矢」で、悪のサガの一派は「力こそ正義、勝ったものが正義」てなことを口にする(デスマスクは「時代によって正義はうつろうもの」だったっけ?)。子ども向けの作品に登場する悪役としてはおさだまりの台詞だが、悪のサガの「地上を数多の神々が狙っているのに、力のないアテナに任せておけない。強い力を持った私が地上を率いるべきだ」という主張と合わせて考えてみると、やはり力と正義を結びつけるのは傲岸なのだろう。悪のサガの主張は一理あるようにも見えて、力という転変するものと正義という不変のものを混同してしまっている。
人間は正義のために戦うことはできても正義そのものにはなれない。だからこそ「奇跡を起こす」力が備わっている、というのはどうか。