「いだてん」はナショナリズムとジェンダーにしろ、ナショナリズムとスポーツにしろ、戦争などもろもろにしろ、各種モチーフの描写は「批判的」という言葉を使えないものだと感じた。しかしオリンピックへの批判的態度を根本的に有さない作品だと考えざるをえない点は、「国家の主催する行事に親近感を持ってもらう」コンセプトにもかかわらず、虚と実の境を曖昧にしようとする作劇方法だった。
この作品はなんのためにあるのか、という作り手の自省を見出すことはできないし、よって批判的描写があってもそこから批判的態度があるとみなすのは難しい。