私は新しい技術が好きで、技術で世の中を豊かにする話が好きだ——いや、好きだった。

私は物理学の美しさに魅了されて理系を志し、脳の情報処理やコンピュータソフトウェアの面白さに惹かれて工学者となるための教育を受けた。工学者(エンジニア)を取材する技術ジャーナリストとなり、ソフトウェア分野の技術、ビジネス、エンジニアらの取り組みの話を、たくさん書いてきた。

だが今の情報処理/情報通信技術は社会に深く入り込み、影響力が強くなりすぎた。そして、テクノロジー業界に流れ込むマネーの力で封建領主化した一部の起業家は、自分たちが特権階級であるかのように振る舞っている。

新規性がある技術への取り組みももちろん大事だが、現在は、ITの社会適用で「やってはいけない事」や最低限守るべき事、それらの基準となる原則——つまり「ITと人権」への取り組みを進めるべき時期だ。

特に、個人データの話(顔認識カメラや、Webサイトでの個人情報収集と広告やマーケシングへの応用など)、そしてSNSのコンテンツモデレーション(コンテンツの監視・管理)は、今や重要な人権問題の一つだ。

T分野で人権を考える取り組みは、ここ数年で進展があった新しい分野だ。この「ITと人権」分野の重要性を、もっと多くの人々が認識してほしいと思っている。

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(まだ暫定版ですが、ITと人権のための基本資料のリストを挙げておきます)

■「ITと人権」を理解するための資料(暫定版)

●人権の基本資料

[1] 世界人権宣言(日本語訳)
unic.or.jp/activities/humanrig
(国際人権の基本を示す重要文書。数学の公理系のようなもの)

[2] 日本弁護士連合会による「国際人権文書(条約及び基準規則等)」
nichibenren.or.jp/activity/int
(特に「国際人権規約 自由権規約」は重要)

[3] ウィーン宣言及び行動計画(日本語訳)
unic.or.jp/files/Vienna.pdf
(冷戦終結後のタイミングで、人権は全世界で普遍的と宣言)

[4] ビジネスと人権に関する指導原則
unic.or.jp/texts_audiovisual/r
(企業活動と人権をすりあわせる原則。法的義務だけでなく、自主的な企業努力が重要との考え方を示す)

(続く)

●「ITと人権」の概要

[5] 星, IGF2021 D1-3発表資料
インターネットと国際人権法の接続 〜表現の自由、プライバシー、暗号化〜
docs.google.com/presentation/d
(インターネットと人権の概念の形成過程を説明)

[7] デジタル社会の光と影~便利さに隠されたプライバシー・民主主義の危機(日本弁護士連合会、2022年9月人権擁護大会のシンポ基調報告)
nichibenren.or.jp/library/pdf/
(デジタル分野で人権に脅威となる事柄を洗い出している。海外視察も行っており力作)

[8] EUのGDPR(一般データ保護規則)日本語訳
ppc.go.jp/files/pdf/gdpr-provi

[9] EUのAI規制法草案の最新版(英文)
europarl.europa.eu/meetdocs/20

[10] EUのAI規制法の2021年段階の草案(日本語訳)
soumu.go.jp/main_content/00082

-- 以上

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