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長め 

大学時代にパン工場で仕分けのバイトをしたことがある。失敗したパンなどのゴミを袋詰めしてゴミ置き場に置くのだけど、社員さんが「袋に入れたら、土足で踏んでおいてね。洗剤とかもかけておいて」と言う。近くに住むホームレスの人がゴミ置き場に忍び込んでパンをとっていくからと。その班の人たちは「私たちが必死に働いてるというのに、あんな風に働かずに社会貢献しない人は許せない」と言い合ってた。当時は構造的格差とか、理由があって働けない人の問題について考えたことがなかったので、そうなのかと思って言われた通りにしてた。
別の班の人と仕事をした日。ゴミを袋詰めして、さあパン踏み潰そうと思っていたら、社員さんが「おじいさんがお腹壊すとかわいそうだもんね。きれいなのをなるべく取りやすいところに入れておこうか」と言って手できれいに詰め始めた。顔から火が出るほど恥ずかしくなった。
おじいさんが怠け者かどうかはわからないとして、現に食べ物がなくて困ってる人がいるなら、踏み潰して食べられなくするより分けてあげた方がずっといいに決まってるじゃないと思った。後者の社員さんの方が素敵だと思ったし、自分もそうありたいと思ったのだった。
ずっと心に残ってる思い出。

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