岩波文庫「太平記(六)」購入後1年、ようやく全巻読み終えました。
終盤は書き継ぐ人が明らかに変わっており、合戦への関心は作戦や奸智の駆け引きに焦点が移り、残虐描写と言ってもいい初期の凄惨さや熱情は控えめになります。新しい日本を作るためにいかなる犠牲をも顧みなかった南朝も、山の中に引きこもり、楠正儀はほぼ儀礼的なゲリラ戦をたまに繰り返して延命を図る。この人嫌いじゃないなあ。

頼りなかった後光厳が中々骨太な青年になっており、この人はこの人で逞しく生き抜いてきたことを窺わせます。

中年になってから読んだら大変面白かった 

iwanami.co.jp/book/b278910.htm

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第6巻あとがき、徳川家康が京都で一時期「新田」を名乗っていたことが書いてありました。何かしら歴史的人物のルーツがあることにしておきたいナラティブ戦略を工夫する家康。しかし新田をルーツに設定するということは、徳川政権成立の段階で、すでに南朝正閏論の種を内包することであった……。

うわ面倒臭い。たぶん深く考えずに、当時人気だった昔の武将の誰かのうち尤もらしいのを選んだだけなのに幕末どころか昭和まで尾を引く火種に?

物語って怖いですね。

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