念のため原書の冒頭を読んでみてるのだけど、日本円暴落論みたいに薄味の論旨を、巧みなレトリックで説得感のあるストーリーに仕立てていく、といった趣きですね。
本文に入る前に「これは危険な本です」「問題作です」と自己宣伝しておいて、小難しい言い回しと刺激的なフレーズを織り交ぜながら、基本的な用語の定義とかファクトの出所はふわっとしたままにすることで、「インターネットの闇に囚われる無垢の少女たち」というダークな世界観を読者に伝えようとしている。
アメリカの出版物によくある「多数の著名人の称賛コメント」もまた、語りの真実らしさを演出するのに一役買っているよう。フィクションの導入としては「こなれ過ぎてて嘘くさい」と感じちゃうくらいなのだけど、なんにも知らずに真に受ける読者が増えるのも分かる。