怪我の功名として、KADOKAWA社内で「ROGD概念のエビデンスレベルの低さや、主要な医学雑誌での異端的な扱い、米国における諸騒動をがっつり取材したノンフィクション」を企画立案するチャンスなのかも。血液型占いやナチス善行説、HSP概念がそうなりつつあるように、「大手の企業体力を活かして、本格的なデータジャーナリズムで俗説をきっちり検証します」という姿勢を確立できたらすごい(KADOKAWAの翻訳ノンフィクションはこれまでも脳科学ジャンルで際どいものを拾っていたイメージがあるので)

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※ただの見物客なりにあれこれの気持ちは抱くのですが、傷ついたひとの怒りや悲しみを簒奪するおそれもあるし、問題の根っこはジェンダーに関する分野に留まらなさそうなので、なるべくエビデンスレベルの高低に絞った話をするようにしています。カドカワストアの「翻訳ノンフィクション」カテゴリーをみると、自己啓発やスピリチュアル、歴史の裏側、食と健康、人間関係などなど、「書籍市場でしっかり売れるけど内容のさじ加減が難しいトピック」をよく扱っていて、この顔ぶれは地方書店・新古書店のわりとふつうの品揃えと通じるところがある。

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念のため原書の冒頭を読んでみてるのだけど、日本円暴落論みたいに薄味の論旨を、巧みなレトリックで説得感のあるストーリーに仕立てていく、といった趣きですね。

本文に入る前に「これは危険な本です」「問題作です」と自己宣伝しておいて、小難しい言い回しと刺激的なフレーズを織り交ぜながら、基本的な用語の定義とかファクトの出所はふわっとしたままにすることで、「インターネットの闇に囚われる無垢の少女たち」というダークな世界観を読者に伝えようとしている。

アメリカの出版物によくある「多数の著名人の称賛コメント」もまた、語りの真実らしさを演出するのに一役買っているよう。フィクションの導入としては「こなれ過ぎてて嘘くさい」と感じちゃうくらいなのだけど、なんにも知らずに真に受ける読者が増えるのも分かる。

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